結婚した人は、一生のうちにどのくらいの割合で離婚を経験するのでしょうか。「3組に1組が離婚する」とよく言われますが、この数字は本当に正しいのでしょうか。実は、年間の婚姻件数と離婚件数を単純に比較しただけでは、生涯離婚率は分かりません。最新の人口動態統計や年齢別の離婚データを使って考えると、日本の生涯離婚率はどの程度なのか、なぜ「3割前後」と推計されるのかを整理できます。
日本の生涯離婚率は約3割と考えるのが妥当
結論から言えば、日本で結婚した人が一生のうちに離婚を経験する割合は、おおむね3割前後と考えるのが妥当です。
ただし、「日本の生涯離婚率は30%」という単一の公式統計が毎年公表されているわけではありません。
厚生労働省の人口動態統計には「離婚件数」「人口千人当たりの離婚率」「年齢別離婚率」などがあります。また、国立社会保障・人口問題研究所(IPSS)には、年齢別の有配偶者に対する離婚率など、より詳しい統計があります。
つまり、生涯離婚率はこうした年齢別・時系列データから推計する数字です。
特に重要なのが、厚生労働省の人口動態統計を使った生涯の結婚・離婚確率の試算です。過去の試算では、平均的な生涯離婚回数を結婚回数と比較すると、男女ともおよそ3分の1に近い水準となっており、「結婚した夫婦の約3組に1組」という説明につながっています。
したがって、検索でよく見かける「生涯離婚率30~35%」という数字は、完全な根拠のない数字ではありません。
ただし、30~35%を現在の日本人全体にそのまま当てはめることも適切ではありません。
「3組に1組が離婚」は何を意味するのか?
ここが最も重要なポイントです。
例えば2025年の人口動態統計では、婚姻件数は48万9,119組、離婚件数は17万9,068組でした。単純に割ると約36.6%になります。
しかし、これは、
「2025年に結婚した夫婦の36.6%が離婚する」
という意味ではありません。
2025年に離婚した17万9,068組には、2025年に結婚した夫婦だけではなく、数年前、十数年前、あるいは数十年前に結婚した夫婦も含まれています。
逆に、2025年に結婚した夫婦の中には、まだ離婚していない夫婦が圧倒的に多く含まれます。
そのため、
離婚件数÷婚姻件数=生涯離婚率
とはなりません。
この単純比較は、統計上は「特殊離婚率」と呼ばれることがありますが、生涯の離婚確率を直接示す指標ではありません。
最新の離婚件数は増えているのか?
日本の離婚件数は、長期的には大きく変化しています。
2024年の離婚件数は18万5,904組、離婚率は人口1,000人当たり1.55でした。2025年の概数では17万9,068組、離婚率1.50となっています。
過去最高水準だったのは2002年です。
2002年には離婚件数が28万9,836組、人口1,000人当たりの離婚率が2.30となりました。その後は長期的に減少傾向となっています。
したがって、
「日本では離婚がどんどん増えている」
というイメージは、現在の統計とは一致しません。
2000年代初頭と比較すれば、年間の離婚件数も人口当たりの離婚率も低下しています。
ただし、だからといって「結婚した人の生涯離婚リスクも2002年から同じ割合で低下した」とまでは言えません。
結婚する年齢、結婚する人の割合、再婚、人口構造などが同時に変化しているためです。
なぜ「生涯離婚率」は単純計算できないのか?
生涯離婚率を正確に計算するのが難しい理由は、結婚と離婚が同じ人について同じ年に発生するわけではないからです。
例えば30歳で結婚した夫婦を考えてみます。
1年目に離婚する夫婦もいれば、5年後、10年後、20年後に離婚する夫婦もいます。
一方で、離婚する前に夫または妻が死亡するケースもあります。
さらに、離婚後に再婚する人もいます。
そのため、
「1年間の離婚件数」
だけを見ても、
「結婚した人のうち何%が最終的に離婚するか」
は分かりません。
より正確に考えるには、年齢別の離婚率を追跡し、それを長期間積み上げる必要があります。
国立社会保障・人口問題研究所の資料には、性別・年齢別の「有配偶者に対する離婚率」が掲載されています。2020年では、夫の有配偶者に対する離婚率は全年齢で4.51‰、妻ではそれより高い水準となっており、若い年齢層ほど高い傾向も確認できます。
つまり、離婚は一生を通じて均等に発生するわけではありません。
「30~35%」と「30%前後」はどちらが正しい?
検索すると、
「生涯離婚率30%」
「生涯離婚率33%」
「生涯離婚率35%」
など、さまざまな数字が出てきます。
これらを一律に「どれか一つが正解」と考える必要はありません。
なぜなら、計算方法や対象となる世代によって結果が変わるからです。
特に注意したいのは、「離婚した人の割合」と「離婚した夫婦の割合」の違いです。
夫婦単位で考える場合、1組の離婚は夫と妻の2人に関係します。
また、再婚した人が再び離婚するケースもあります。
そのため、「人生で一度でも離婚した人」を知りたいのか、「初婚夫婦が最終的に離婚する確率」を知りたいのかによって、求める数字は変わります。
こうした違いを考慮すると、一般向けには、
「日本の生涯離婚率は約3割前後」
と説明するのが最も無理のない表現です。
「35%」と断定するより、「おおむね3割程度」としたほうが統計上は慎重です。
2025年のデータから見ても「3組に1組」は大きく外れていない
2025年の婚姻件数は48万9,119組、離婚件数は17万9,068組でした。
単純計算では、
17万9,068 ÷ 48万9,119 ≒ 36.6%
となります。
ただし、前述したように、この36.6%をそのまま生涯離婚率とは呼べません。
それでも、長期的な婚姻・離婚の統計を積み上げた推計が「3割前後」という水準になることを考えると、「3組に1組」という表現が完全に的外れというわけでもありません。
むしろ正確には、
「年間の離婚件数と婚姻件数を単純比較すると約3~4割になる。一方、人生を通じて結婚した人が離婚を経験する割合は、各種統計からおおむね3割前後と推計される」
と理解するのが適切です。
生涯離婚率を見るときに注意したい3つの数字
離婚について調べるときは、次の3つを区別すると混乱しません。
① 普通離婚率
人口1,000人当たりの離婚件数です。
2025年は1.50‰でした。これは「日本人の1.5%が離婚した」という意味ではありません。人口を分母にした年間の発生率です。
② 婚姻件数に対する離婚件数
2025年なら約36.6%です。
しかし、これは異なる世代の結婚と離婚を同じ年に比較した数字です。
したがって、「2025年に結婚した夫婦の36.6%が離婚する」という意味ではありません。
③ 生涯離婚率
結婚した人が、その後の人生で一度以上離婚する確率です。
これを求めるには年齢別の離婚率などを長期的に追跡する必要があります。
現在の日本については、約3割前後と見るのが妥当でしょう。
まとめ
日本の生涯離婚率を「一生のうちに一度以上離婚を経験する人・夫婦の割合」と考えるなら、現在の日本ではおおむね3割前後と見るのが妥当です。
ただし、「3組に1組が離婚する」という数字には注意が必要です。
2025年は婚姻48万9,119組に対して離婚17万9,068組で、単純比較すると約36.6%でした。しかし、この数字は同じ年に結婚した夫婦の将来の離婚率ではありません。
一方、厚生労働省や国立社会保障・人口問題研究所が公表する年齢別・有配偶者別の統計を長期的に見ると、「結婚した人の約3割が人生のどこかで離婚を経験する」というイメージは、統計的にも大きく外れたものではありません。
さらに重要なのは、日本の離婚率は2002年をピークに低下していることです。2002年の離婚件数は28万9,836組でしたが、2025年の概数は17万9,068組まで減っています。
したがって、「日本人の3人に1人が離婚する」という意味ではなく、**「結婚した人を長期的に追うと、そのうちおよそ3割前後が一度以上の離婚を経験すると考えられる」**という理解が最も近いでしょう。
FAQ
Q1. 日本では本当に3組に1組が離婚しますか?
「3組に1組」という表現は大まかな説明として使われていますが、年間の離婚件数を婚姻件数で割った数字を、そのまま生涯離婚率とすることはできません。生涯で考える場合は、年齢別・時系列の離婚率から推計する必要があります。
Q2. 2025年の日本の離婚率は何%ですか?
2025年の離婚率は人口1,000人当たり1.50‰です。年間の離婚件数は17万9,068組でした。
Q3. 離婚率が一番高かったのはいつですか?
現在の形式で比較できる統計では、2002年が大きなピークです。離婚件数は28万9,836組、人口1,000人当たりの離婚率は2.30でした。
Q4. 「離婚した人の割合」と「生涯離婚率」は同じですか?
同じではありません。現在離婚している人の割合と、人生のどこかで一度でも離婚した経験を持つ人の割合は別の指標です。再婚した人もいるため、現在の配偶関係だけでは過去の離婚経験を完全には把握できません。
Q5. 日本の生涯離婚率は今後下がりますか?
現時点で将来の生涯離婚率を断定することはできません。年間の離婚件数は2002年のピークから低下していますが、結婚する人そのものが減っており、結婚年齢も変化しています。そのため、年間離婚率の低下だけから生涯離婚率の将来を判断することはできません。

