「日本人は結婚したがらなくなった」と言われることがあります。実際、未婚者の結婚意思を長期的に調べた公的統計を見ると、1980年代の9割を超える水準から、近年は低下しています。ただし、「結婚したくない人が急増した」と単純に考えるのは正確ではありません。結婚を望みながら相手に出会えない人も多く、恋愛や婚活の形そのものが変化しています。本記事では、未婚者の結婚意思の推移、結婚しない理由、交際状況、婚活市場への影響まで分かりやすく解説します。
未婚者の結婚意思を調べるデータはいつからある?
日本人の結婚意思を長期的に比較するうえで、非常に重要な統計が、国立社会保障・人口問題研究所の「出生動向基本調査」です。
この調査は、結婚や出産、子育ての実態と意識を把握するために、ほぼ5年ごとに実施されています。第17回調査は2025年6月30日を調査基準日として実施されました。
特に未婚者については、「自分の一生を通じて考えた場合、あなたの結婚に対するお考えは」という質問を行い、「いずれ結婚するつもり」と「一生結婚するつもりはない」という選択肢で結婚意思を調べています。
このため、単発のアンケートではなく、長期間にわたって日本人の結婚観の変化を見ることができます。
1980年代の未婚者はどのくらい結婚したかった?
1980年代の未婚者は、現在と比べると非常に高い割合で結婚意思を持っていました。
18~34歳の未婚者を見ると、1982年の「いずれ結婚するつもり」は男性95.9%、女性94.2%でした。
1987年でも男性91.8%、女性92.9%です。つまり当時は、18~34歳の未婚者の大部分が「いつかは結婚する」と考えていたことになります。
その後は徐々に低下し、1997年には男性85.9%、女性89.1%、2005年には男性87.0%、女性90.0%となりました。
一時的に下げ止まる時期もありましたが、長期的に見ると、1980年代の非常に高い結婚意思からは明らかに変化しています。
2021年の結婚意思はどこまで低下した?
現在確認できる最新の公的な結婚意思データは、2021年に実施された第16回出生動向基本調査です。
18~34歳の未婚者で「いずれ結婚するつもり」と回答した割合は、男性81.4%、女性84.3%でした。
前回の2015年調査では男性85.7%、女性89.3%だったため、6年間で男性は4.3ポイント、女性は5.0ポイント低下しています。
一方、「一生結婚するつもりはない」と回答した割合は、男性17.3%、女性14.6%でした。
つまり、現在の日本では「ほとんどの若者が結婚を望んでいる」という1980年代型の状況から、「結婚したい人」と「結婚しない人」がより明確に分かれる状況へ変化していると考えられます。
ただし、ここで注意したいのは、2025年に第17回出生動向基本調査が実施済みであることです。2026年9月4日現在、研究所の案内では第17回調査の結果は公表予定段階であり、2025年の結婚意思について確定した数値をこの記事に入れることはできません。したがって、最新値を捏造せず、2021年の数値を最新公表値として扱うのが適切です。
なぜ結婚意思が低下しているの?
結婚意思の低下には、単一の原因があるわけではありません。結婚そのものに対する価値観、仕事、経済状況、恋愛や交際のスタイルなど、複数の要因が重なっています。
経済的な負担が大きい
結婚を希望する未婚者に「一年以内に結婚するとしたら障害となること」を尋ねた調査では、「結婚資金」が男女とも最も多く挙げられました。
2015年調査では男性43.3%、女性41.9%が結婚資金を障害として回答しています。また、職業や仕事上の問題を挙げる人も増えていました。
結婚したいかどうかという「意思」と、実際に結婚できるかどうかという「環境」は別問題です。結婚意思がある人でも、収入や仕事、生活費などが障壁になれば、結婚時期は遅くなります。
独身生活の自由を重視するようになった
結婚すると、住む場所、時間の使い方、お金の使い方など、生活上の自由が一定程度変わります。
そのため、「結婚にはメリットがある」と考える一方で、「独身にもメリットがある」と考える人も少なくありません。
現在は、結婚しなくても一人で生活できるサービスや娯楽が充実しており、昔と比べて独身生活を選択しやすい社会になっています。
恋愛そのものを望まない人も増えている
結婚意思の低下を考えるうえで、恋愛や交際の変化も無視できません。
第16回出生動向基本調査では、18~34歳の未婚者について、恋人と交際中の割合は男性21.1%、女性27.8%でした。また、未婚者の約3人に1人は交際を望んでいないとされています。
つまり、「結婚したいけれど相手がいない」という人だけではありません。「恋人を作ること自体を積極的には望まない」という人も存在します。
これは、従来の「恋愛→交際→結婚」という一本道のモデルが弱くなっていることを示す重要な変化です。
結婚したくない人だけが増えたわけではない?
ここが、結婚意思の統計を読むうえで最も重要なポイントです。
「結婚意思が低下した」という数字だけを見ると、「若者は結婚したくなくなった」と考えがちです。しかし実際には、結婚を望んでいる人の中にも、適切な相手に出会えていない人がいます。
第15回出生動向基本調査では、25~34歳の未婚者が独身でいる理由として、「適当な相手にまだめぐり会わない」ことなどが重要な理由として挙げられていました。
一方、18~24歳では「まだ若すぎる」「まだ必要性を感じない」「仕事や学業に打ち込みたい」など、結婚を急ぐ必要がないという理由が目立ちます。
したがって、未婚者を一括りにして「結婚したくない人」と考えるのは適切ではありません。
「今は結婚したくない人」「いつか結婚したい人」「結婚したいが相手が見つからない人」「結婚そのものを望まない人」が混在しています。
結婚意思の低下で婚活市場はどう変わった?
結婚意思が低下し、恋愛や交際のスタイルも変化すると、婚活市場にも影響が出ます。
昔の婚活では、職場、学校、友人や親族からの紹介など、日常生活の中で自然に相手と出会う機会が比較的多くありました。
しかし、職場や地域社会などでの人間関係が以前ほど結婚につながらなくなると、「自分から相手を探す」必要性が高まります。
そこで存在感を増しているのが、結婚相談所、婚活パーティー、マッチングアプリなどです。
特にマッチングアプリは、従来なら出会えなかった地域や職業、年齢層の相手と接点を持てるという特徴があります。
一方で、選択肢が増えたことで、相手を比較し続けてしまうという問題もあります。「もっと良い相手がいるかもしれない」と考えることで、交際や結婚の決断が遅れる可能性もあります。
つまり現代の婚活市場では、「出会いがない」だけではなく、「出会いは増えたが、決断することが難しい」という新しい問題も生まれています。
結婚意思が低下しても婚活市場はなくならない?
結論として、結婚意思が低下したからといって、婚活市場そのものが縮小して消えてしまうとは限りません。
むしろ重要なのは、結婚を望む人の割合が低下しても、一定数の人は依然として結婚を希望しているという点です。
2021年の調査でも、18~34歳の未婚者の「いずれ結婚するつもり」は男性81.4%、女性84.3%でした。低下したとはいえ、8割を超えています。
これは「日本人が結婚を完全に放棄した」という状況とは大きく異なります。
むしろ婚活市場に求められるものが変化していると考えたほうが分かりやすいでしょう。
単純に「結婚相手を紹介する」だけではなく、価値観、生活スタイル、仕事、趣味、結婚後の生活設計など、相性を重視したサービスが重要になっています。
また、結婚を急がない人が増えれば、20代だけを対象にするのではなく、30代、40代以降まで含めた幅広い婚活サービスの需要も生まれます。
まとめ
日本人の未婚者の結婚意思は、長期的に見ると低下しています。
1982年には18~34歳の未婚者で「いずれ結婚するつもり」と答えた割合が男性95.9%、女性94.2%でした。それが2021年には男性81.4%、女性84.3%まで低下しています。
ただし、8割以上が結婚意思を持っているため、「若者の大半が結婚したくない」という理解は正確ではありません。
重要なのは、結婚したい人と結婚したくない人の分化が進み、さらに「結婚したいが相手に出会えない」「まだ結婚する必要を感じない」という人も存在することです。
結婚観の変化は、恋愛、交際、マッチングアプリ、結婚相談所など、婚活市場そのものを変えています。
そして2025年には第17回出生動向基本調査が実施されています。今後この結果が公表されれば、2021年以降に結婚意思がさらに低下したのか、それとも下げ止まったのかを確認できる重要なデータになります。
よくある質問
日本人の結婚意思は本当に低下していますか?
はい。長期的には低下しています。18~34歳の未婚者で「いずれ結婚するつもり」と答えた割合は、1982年の男性95.9%・女性94.2%から、2021年には男性81.4%・女性84.3%になっています。
2025年の最新データはありますか?
2025年6月30日を基準日として第17回出生動向基本調査が実施されています。ただし、2026年9月4日時点では結婚意思の結果数値はまだ公表されていません。そのため、現時点で確認できる最新の公表値は2021年調査です。
結婚したくない若者が急増したということですか?
単純には言えません。結婚意思を持つ人は減っていますが、2021年でも男性81.4%、女性84.3%が「いずれ結婚するつもり」と回答しています。また、「今は結婚する必要を感じない」「相手が見つからない」など、結婚しない理由もさまざまです。
婚活市場は今後なくなるのでしょうか?
その可能性は低いと考えられます。結婚を希望する人が一定数存在する限り、相手探しを支援するサービスには需要があります。ただし、若年層中心から幅広い年齢層へ、また単純な紹介型から価値観や生活スタイルを重視するサービスへ変化していく可能性があります。
結婚意思の低下と少子化は関係していますか?
関係はありますが、結婚意思だけで少子化を説明することはできません。結婚する年齢、子どもを持つかどうか、希望する子どもの人数、経済的な負担、仕事と子育ての両立など、複数の要因が関係しています。

