誰が移民(外国人)を受け入れているのか?
• 日本政府(法務省・出入国在留管理庁)
政府は、少子高齢化と深刻な労働力不足を背景に、外国人材の受け入れを制度的に進めています。2019年に創設された「特定技能」制度や、2024年の入管法改正による「育成就労」制度などがその代表例です。
• 地方自治体
地方自治体も独自に外国人材の受け入れ・定着支援を進めています。例えば高知県では「外国人材確保・活躍戦略」を策定し、フィリピンやベトナムなどからの人材確保に取り組んでいます。
政府の移民政策の現状と方針
1. 特定技能制度(2019年〜)
• 2019年4月に創設された「特定技能」は、建設・介護・外食など人手不足が深刻な分野で外国人労働者を受け入れる制度です。5年間で最大約34万5,000人の受け入れを見込んでいました。
• 2024年12月末時点で、特定技能在留者は約28万4,466人に達しています。
2. 技能実習制度から「育成就労」制度への移行(2024年改正)
• 技能実習制度は人権問題や低賃金労働の温床とされ、2024年6月に成立した入管法改正により廃止されます。代わって2027年開始予定の「育成就労」制度が導入されます。
• この新制度では、転籍の柔軟化や仲介業者への規制強化、罰則の厳罰化(懲役5年・罰金500万円以下)などが盛り込まれています。
3. J-Find(未来創造人材制度)など高度人材の誘致
• 世界トップ100大学卒業後5年以内の若者を対象に、就職や起業準備のため最長2年の滞在を認める制度が2023年に導入されました。就労や家族帯同も可能です。
• また、専門学校卒業生の就労ビザ取得要件の緩和や、留学生の就職支援も強化されています。
4. 制度の複雑さと統合の課題
• 現在、日本には技能実習、特定技能、高度専門職、育成就労など複数の在留資格が存在し、制度が複雑で分かりにくいとの指摘があります。
• また、政策推進の司令塔が不在で、縦割りによる調整不足も課題とされています。
5. 政府の公式スタンス:「移民政策ではない」との説明
• 自民党内や政府は、外国人材の受け入れを進めつつも「移民政策ではない」との立場を維持しています。
• しかし、実質的には定住や永住につながる制度が拡充されており、政策転換が進んでいるとの分析もあります。
直近の動き:起業家向けビザの厳格化(2025年8月)
• 2025年8月26日、政府は「経営・管理ビザ(ビジネス・マネジメントビザ)」の要件を厳格化する案を発表しました。資本金を5百万円から3千万円に引き上げ、常勤雇用者の要件も追加されます。
• この変更は、反移民勢力の影響を受けた政治的背景もあり、2025年10月の実施を目指しています。
総括
| 主体 | 役割 |
|---|---|
| 政府(法務省・出入国在留管理庁) | 特定技能・育成就労・高度人材制度などを通じて外国人材の受け入れを制度化 |
| 地方自治体 | 地域の人手不足に応じて外国人材の定着支援や戦略策定を実施 |
| 政府方針 | 「移民政策ではない」としつつ、実質的な定住・永住につながる制度を拡充中 |
| 直近の動き | 起業家向けビザの要件厳格化(2025年10月実施予定) |
