生活道路の定義は、道路交通法(道交法)などの法令で明確に定められているわけではありませんが、警察庁の「交通規制基準」では、一般道路のうち、主として地域住民の日常生活に利用される道路とされています。 具体的には、住宅街や商店街などで、買い物、通勤、通学、散歩などの日常的な移動に使われ、歩行者や自転車の通行が自動車よりも優先されるべき道路を指します。 また、国土交通省の資料では、車道幅員が5.5m未満の狭い道路を生活道路として扱うケースが多く、道幅が狭く見通しが悪い、信号や横断歩道が少ないなどの特徴があります。 交通工学研究会のマニュアルでは、「地区内の移動や幹線道路へのアクセスに使う道路」と定義されており、全体として「地域住民の生活の場に密着した道路」という共通のイメージがあります。生活道路の法定速度(60km/h)の決定者、根拠、時期生活道路の法定速度が60km/hであるのは、生活道路が「一般道路」に分類されるためで、これは道路交通法施行令第13条で定められたものです。 一般道路(高速道路や自動車専用道路を除く道路)の法定最高速度を一律60km/hとするルールが適用され、標識による特別な制限がない限り、これがデフォルトとなります。 これは、歩行者優先の生活道路であっても、過去の法令では細分化されていなかったためです。
- 誰が決めたか:警察庁(内閣府の外局)が交通規制の基準を定め、政府(内閣)が道路交通法施行令として閣議決定・公布します。 つまり、警察庁の提案に基づき、国会で道路交通法が成立した上で、施行令として具体的な数値(60km/h)が設定されています。 生活道路の安全性を考慮したゾーン規制(例: ゾーン30)は地方自治体や警察が実施しますが、基本の法定速度は国レベルの決定です。
- いつからか:道路交通法自体は1948年(昭和23年)に制定されましたが、一般道路の法定速度を60km/hに統一したのは、1960年(昭和35年)の道路交通法施行令改正からです。 当時の交通環境(自動車の増加に伴う安全基準の整備)を背景に、国際基準(当時の欧米の一般道速度に準拠)や国内の道路状況を踏まえて設定されました。 それ以前は、道路ごとに異なっていましたが、統一ルール化で全国的な基準ができました。
ただし、ご質問の時点(2025年10月25日)では、状況が変わりつつあります。生活道路での交通事故(特に歩行者・自転車巻き込み)が多発し、死亡リスクが高い(30km/h超で急増)というデータから、2024年7月23日の閣議決定で改正道路交通法施行令が公布され、2026年9月1日から生活道路の法定速度が30km/hに引き下げられます。 対象は中央線・中央分離帯がなく、道幅5.5m未満の狭い道路(全国一般道の約7割)で、標識がない限り30km/hがデフォルトとなります。 これにより、狭い生活道路の60km/h走行は違反(スピード違反の罰金・点数対象)になりますが、広い農道などは例外的に60km/hを維持可能です。 決定の背景には、千葉県八街市の児童死傷事故(2021年)などの事例と、ゾーン30の効果検証があります。狭い道で60km/hは確かに現実的でないというご指摘の通りで、今回の改正はまさにその是正を狙ったものです。施行まで約1年、ドライバーへの周知が鍵になります。
