ビタミンK(特にK₂)は、骨密度(BMD)の維持・向上において重要な役割を果たします。以下に、ビタミンKの効果・必要性・作用機序について、ビタミンDとの併用も含めて整理しました。

ビタミンKの骨への効果と作用機序

• ビタミンKは、骨に存在するオステオカルシン(OC)やマトリックスGlaプロテイン(MGP)などの「ビタミンK依存性タンパク質」のγ-カルボキシル化(活性化)に必須です。これにより、カルシウムが骨に取り込まれやすくなり、骨の質と強度が向上します

• メタアナリシスでは、ビタミンK補給により腰椎の骨密度が有意に増加し、カルボキシル化オステオカルシン(cOC)が増え、未カルボキシル化オステオカルシン(ucOC)が減少することが確認されています

• また、ビタミンKは骨折リスクの低下にも関連しています。ある系統的レビューでは、ビタミンK摂取により脊椎骨折のオッズ比が0.42、臨床的骨折が0.44と、リスクが大幅に低下したと報告されています

• 一方で、骨密度の改善については部位によって差があり、腰椎では効果が見られるものの、大腿骨頸部では有意な改善が認められない研究もあります

 

ビタミンDとの相乗効果

• ビタミンDはカルシウムの吸収を促進し、ビタミンK依存性タンパク質の産生を促すことで、ビタミンKの働きを支援します。このため、両者の併用は骨および心血管の健康に対してより効果的であるとされています

• 実際、RCTをまとめたメタアナリシスでは、ビタミンKとDの併用により全体の骨密度が有意に増加し、未カルボキシル化オステオカルシンが減少することが示されました。特にビタミンK₂(K2)が500μg/日未満であれば、より効果が高い傾向が見られます

• 一般的な健康情報でも、ビタミンDがカルシウム吸収を助け、ビタミンKがカルシウムを骨に導き、血管への沈着を防ぐことで、骨の健康をサポートするとされています

 

総合評価と注意点

• 効果:ビタミンKは腰椎の骨密度を改善し、骨折リスクを低下させる可能性があります。特にビタミンK₂が有望です。

• 必要性:ビタミンDと併用することで、カルシウムの骨への取り込みが促進され、より効果的な骨強化が期待できます。

• 限界:大腿骨頸部など一部の部位では骨密度の改善が見られない研究もあり、全体的な効果には個人差がある可能性があります。

• 安全性:通常の用量であれば安全とされますが、ワルファリンなどの抗凝固薬を使用している場合は、ビタミンKが薬の効果を弱める可能性があるため、医師への相談が必要です

 


• *まとめ**

• ビタミンKは骨の質を高め、骨折リスクを減らす可能性がある重要な栄養素です。

• ビタミンDと併用することで、より強力な骨の健康サポートが期待できます。

• 特にビタミンK₂(MK-7など)は効果的であり、腰椎の骨密度改善や骨折リスク低減に有益です。

• ただし、個人差や部位差があるため、サプリメントを始める際は医師や専門家と相談することをおすすめします。

 

はい、ビタミンKは主に以下の食品に多く含まれています。

ビタミンKには「K₁(フィロキノン)」と「K₂(メナキノン)」の2種類があり、それぞれ多く含まれる食品が異なります。


🥬 ビタミンK₁(フィロキノン)が多い食品

• 緑黄色野菜

• ほうれん草

• 小松菜

• 春菊

• ブロッコリー

• キャベツ

• ケール

• 海藻類

• わかめ

• ひじき

• 植物油

• 大豆油

• 菜種油


🍶 ビタミンK₂(メナキノン)が多い食品

• 納豆(特に多い!)

• チーズ(熟成タイプに多い)

• 発酵食品

• 味噌

• ヨーグルト(発酵度による)

• 動物性食品

• 鶏レバー

• 肉類(少量)


📝 ポイント

• 納豆は日本人の食事で最もビタミンK₂が豊富な食品です。

• 緑黄色野菜はビタミンK₁が多く、日常的に摂りやすいです。

• ビタミンKは脂溶性なので、油と一緒に摂ると吸収率がアップします。