⚡️ 海水のマグネシウムで船が動く原理
海水のマグネシウムを使って船を動かす仕組みは、主にマグネシウム燃料電池やマグネシウム空気電池の原理を利用しています。
1. マグネシウム空気電池の基本原理
• マグネシウム(Mg)は、海水中で酸素(O₂)と反応して電気を生み出すことができます。
• 海水は電解質(イオンを含む液体)として働きます。
# 反応式(簡略化):
$$
\text{負極(マグネシウム):} \quad Mg \rightarrow Mg^{2+} + 2e^-
$$
$$
\text{正極(酸素):} \quad O_2 + 2H_2O + 4e^- \rightarrow 4OH^-
$$
• この反応で生じた電子(e⁻)が外部回路を流れ、モーターなどを動かす電力になります。
2. 船の推進への応用
• 船にマグネシウム空気電池を搭載し、海水を電解質として使います。
• 電池が発電した電気で電動モーターを回し、プロペラを動かします。
3. メリット・デメリット
• メリット
• 燃料(マグネシウム)は軽く、エネルギー密度が高い
• 海水をそのまま使えるので補給が簡単
• デメリット
• マグネシウムは消耗品なので、定期的な交換が必要
• 発電効率やコスト面で課題がある
4. 実用例
• 小型無人船や非常用電源などで研究・実用化が進められています。
まとめ
• *海水のマグネシウムで船が動く原理**は、
「マグネシウムと海水(+空気中の酸素)を使った電池で発電し、その電気でモーターを回して船を動かす」
という仕組みです。
特許の状況
• 海水電池(マグネシウム空気電池など)に関する特許は多数存在します。例えば、中国の南方科技大学が2002年に出願した「海水電池」に関する特許(CN1391300A)があります
• また、マグネシウムを海水から効率的に抽出する技術についても、2022年に中国・同済大学が出願し、2024年に承認された特許(CN115094451B)があります
• 日本でも、海水中から高純度の水酸化マグネシウムを効率的に回収するシステムに関する特許(JP2024070482A)が2024年に出願されています
• *結論**:技術的な基盤に関しては、既に多くの特許が取得されており、研究開発は進んでいます。
実用化・商業化の現状
• 欧州ではプロジェクトが2018年から2021年にかけて実施されました。これは、海洋観測機器向けに5年以上の耐久性と25kWhの容量を目標としたマグネシウム海水電池の開発を目的とした研究です
• しかし、現時点(2025年9月)では、商業船舶への搭載や実用化された事例は確認されていません。研究段階に留まっているのが現状です。
利権や普及の障壁について
• 技術的課題:海水電池は構造がシンプルで軽量という利点がある一方で、カソード効率の低さや出力電流密度の制限などの課題があり、特に高出力を必要とする用途には適していません
• コストとインフラ:マグネシウムの供給や電池の製造コスト、交換・補給のインフラ整備が必要であり、これらが普及の障壁となっています。
• 利権の問題:現時点で「利権によって世に出ない」という明確な証拠は見つかっていません。むしろ、技術的・経済的な実用化のハードルが主な原因と考えられます。
まとめ
• 海水を電解質とするマグネシウム電池に関する特許は多数存在し、技術的な基盤は整いつつあります。
• 実用化はまだ進んでおらず、研究開発段階に留まっている状況です。
• 利権による妨害というよりも、技術的・経済的な課題が普及の妨げになっていると考えられます。
